物質は温度が上昇すると、固体から液体、液体から気体へと状態が変わります。
気体に連続的なエネルギーを加えることで発生する状態を”プラズマ”と呼びます。
プラズマとは液体・固体・気体に続く第4の状態と言われています。
電極間に高電圧を印加し、電場を発生させます。
電場によって加速された電気エネルギーを中性気体の分子にぶつけて解離したものが原子となり、さらに原子に電子が衝突することで、電子が原子から離れて、正イオンと電子になります。この現象は電離と呼ばれ、電離によって生じた荷電粒子を含む気体がプラズマです。
電離によって不対電子ができ、酸素ラジカルとなります。酸素ラジカルは共有電子対を形成していないため、非ラジカル種と反応する際に電子を奪いとって安定化するため、反応後には新たな酸素ラジカルが発生します。新たに発生した酸素ラジカルはさらに次の標的分子から電子を奪い取るため、反応が連鎖的に進行します。
このときのプラズマによるエネルギーと酸素ラジカルにより基板の洗浄・表面改質が行われます。
一般的にプラズマ処理装置と呼ばれるものに、低圧プラズマと大気圧プラズマがあります。
大気圧プラズマは文字通り大気圧環境下でプラズマを発生させる装置で、真空環境を必要としない、および低圧プラズマよりもイオン密度が高いといった特徴がある反面、電極間の距離を短くする必要があり、ワークとの照射距離に制限が出てしまいます。またプラズマを発生させるために、希ガスや酸素などのガスが必要となります。
低圧プラズマは真空環境は必要となりますが、容器内の分子密度が低いため、ガスを導入しなくても、プラズマを発生させることができます。また電極間の距離をある程度離しても、プラズマがワークに照射できるため、ワーク形状に依存しない処理が可能となります。
プラズマによって形成された荷電粒子を含むエネルギーが、基板表面上の誘起汚染物質の結合を分解します。また、形成された酸素ラジカルが、有機汚染物質と化学的に結合し、二酸化炭素や水などの揮発性物質に分解反応させて除去します。
プラズマによって形成された荷電粒子を含むエネルギーが、基板表面を粗すことで、基板表面の密着性を高めます。
プラズマによって形成された酸素ラジカルは、基板表面に衝突して表面層の分子鎖(ぶんしさ)を切断し、切断された分子と反応して新たな官能基(OH,CO,COOHなど)を生成します。